Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans
と、利兵衛は小声で答えた。
お此というのは、山城屋のひとり娘で、町内でも評判の容貌好しであるが、どういうわけか縁遠くて、二十六七になるまで白歯の生娘であった。それがために兎角よくない噂が生み出されて、お此は弁天娘というあだ名で呼ばれていた。しかもそれが普通に用いられる善い意味ではないので、山城屋の親たちもよほどそれを苦に病んでいるらしかった。それらの事情は半七もかねて知っていたが、そのお此がどうして小僧を殺したか、彼もさすがに早速の判断を下すことが出来なかった。その思案の眼色をうかがいながら、利兵衛はつづけて語り出した。
「徳次郎が病気になりましたのは、ちょうどお雛様の宵節句の晩からでございまして、ほかの奉公人の話によりますと、夕方から何だか口中が痛むとか申して、夜食も碌々にたべなかったそうでございます。それが夜あけ頃からいよいよ激しく痛み出して、あしたの朝には口中が腫れふさがってしまいました。口をきくことは勿論、湯も粥も薬もなんにも通らなくなりまして、しまいには顔一面が化け物のように赤く腫れあがってしまいました。したがって、熱が出る、唸る、苦しむというわけで、医者も手の着けようがないような始末になりましたので、主人は勿論、手前共もいろいろと心配いたしまして、とうとう宿の方へ下げることに致しましたのでござい