Classiques japonais avec furigana
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ダンスマカブル
死の舞踏
野村 胡堂
Lisez 死の舞踏 (ダンスマカブル) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 576 caractères · 21 écrans
実を言うと私は、この曲をあまり好きではなかったのです。同じく縁起の悪い、死を取扱った曲にも、古典的な美しい芸術が沢山あるのに、サン・サーンの「死の舞踏」は又何んという厭らしい実感的な音楽だったでしょう。真夜中の墓場から抜け出した骸骨の群れは、冥府の青白い灯を掲げ、その骨と骨を鳴らし乍ら夜と共に踊り狂う様は、サン・サーンの驚く可き技巧で、存分過ぎるほど丁寧に描き出されて居るのです。
重ねて言いますが、私はこの曲を好みません。その癖この曲の主題になって居る単調な不気味な旋律が、ともすれば私の耳にこびり付き、その主題の数小節が、私の冥想や夢の中で、舞踏することさえあるのです。けれども、好きとか嫌いとかいう事を別にして、その時私の手は、その不気味にも美しい曲――恐ろしい死の誘惑を描いた曲――を、我にもあらず弾いて居たのです。
ピアノは少し損じて居るせいか、ペダルが思うようにならなかった為に、異様な音楽は益々歪められて、不気味さは一層加わるばかり。
私は、この恐ろしい弾奏を、どうかして止そうと思いましたが私の手は私の意志に反して、鍵盤の上を縦横に駈けめぐり乍ら、あの曲の持った、たまらない不気味な空気を益々濃厚に醸して行きます。