Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ダンスマカブル
死の舞踏
野村 胡堂
Lisez 死の舞踏 (ダンスマカブル) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 576 caractères · 21 écrans
五
「アッ」
隣室の光景は、手に取るように私の前にさらされたのです。
五
私は生れてから、こんな恐ろしい光景を、見た事も想像したこともありません。盛装した大勢の客達は、口をポカリと開けて目をカツと見開いて、硬直した身体を、室の四隅に集め、
「ワーッ」
「止せッ」
「アーッ」
意味も何んにも無い、引き千切って叩き付けるような言葉を投げて居ります。
室の真中には、
主人の佐良井金三、私の叩き続けるピアノの音につれて、忌わしい、醜い「死の舞踏」を必死となって踊り続けて居るのです。
その半ば禿げかかった頭の毛は、針のように突っ立って、藍のように真ッ蒼な顔には、飛出しそうな二つの眼が、貝殻のような空ろな光りを輝かせて居ります。縦横に現われた皺には、恐ろしい苦悩と恐怖が刻まれて、鉤で引っつるような、無残にも引歪められた口から、
「許せ、許せ、……幽香子、許せ」
と呂律も成さない言葉を吹き綴って居ります。
上着は何処かへかなぐり捨てて、ワイシャツはもう滅茶滅茶に引き千切られ、その間から、皮と肉との間を、虫が這い廻りでもするように、恐ろしく引釣る皮膚の一部が見えて居りました。