Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Lisez 死者の書 (ししゃのしょ) de 折口 信夫 (おりくちしのぶ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 62 340 caractères · 126 écrans
郎女の声・詞を聞かぬ日はない身狭乳母ではあった。だがついしか此ほどに、頭の髄まで沁み入るような、さえざえとした語を聞いたことのない、乳母だった。
寺方の言い分に譲るなど言う問題は、小い事であった。此爽やかな育ての君の判断力と、惑いなき詞に感じてしまった。ただ、涙。こうまで賢しい魂を窺い得て、頬に伝うものを拭うことも出来なかった。子古にも、郎女の詞を伝達した。そうして、自分のまだ曾て覚えたことのない感激を、力深くつけ添えて聞かした。
ともあれ此上は、難波津へ。
難波へと言った自分の語に、気づけられたように、子古は思い出した。今日か明日、新羅問罪の為、筑前へ下る官使の一行があった。難波に留っている帥の殿も、次第によっては、再太宰府へ出向かれることになっているかも知れぬ。手遅れしては一大事である。此足ですぐ、北へ廻って、大阪越えから河内へ出て、難波まで、馬の叶う処は馬で走ろう、と決心した。
万法蔵院に、唯一つ飼って居た馬の借用を申し入れると、此は快く聴き入れてくれた。今日の日暮れまでには、立ち還りに、難波へ行って来る、と歯のすいた口に叫びながら、郎女の竪帷に向けて、庭から匍伏した。