Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

すいちゅうのかいじん

水中の怪人

山本 周五郎

Lisez 水中の怪人 (すいちゅうのかいじん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 922 caractères · 18 écrans

Aozora Bunko

「そう云えば僕にも少し見おぼえがある」

文吾が宙をにらむようにして、

「たしか製図部にいた男だ。去年なにか失策をして追い出されたのだと思うが……」

「職工服を着ていたじゃないか」

「あたし船室に入るわ」

良子は急に立ち上がった。

「なぜさ、どうしたの?」

「なんでもいやよ、噂をしているところへ河童が出るなんて云ったじゃないの。気味が悪いから入るの」

「案外臆病ですね」

文吾がそう云って立ち上った。

「じゃあ船室まで送って行きましょう」

文吾は良子の腕をとって船室へ入った。――上甲板の特別室である。じゃおやすみと握手をして、扉の前から文吾が甲板の方へもどろうとすると、いま船室へ入ったばかりの良子が、

「――平林さんッ」

と叫びながらとび出して来た。

「どうしたんです?」

「だれか、だれかこの船室に入ったわ……」

蒼くなって震えている良子を見て、文吾は急いで船室の中へ入っていった。

船窓があいている。そして寝台から床の上へかけて、ぬれた大きな足跡が入乱れているのである。それは人間のものではなかった。長い指と指とのあいだに、蹼のあるのがはっきりと分る。――ひと口に云えば蛙の足を大きくしたのに似ていた。