Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うきぐも
浮雲
二葉亭 四迷
Lisez 浮雲 (うきぐも) de 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 980 caractères · 222 écrans
酒を命じ肉を命じて、文三が待てど暮らせど持て来ない、催促をしても持て来ない、また催促をしてもまた持て来ない、偶々持て来れば後から来た客の所へ置いて行く。さすがの文三も遂には肝癪を起して、厳しく談じ付けて、不愉快不平な思いをして漸くの事で食事を済まして、勘定を済まして、「毎度難有御座い」の声を聞流して戸外へ出た時には、厄落しでもしたような心地がした。
両側の夜見世を窺きながら、文三がブラブラと神保町の通りを通行した頃には、胸のモヤクヤも漸く絶え絶えに成ッて、どうやら酒を飲んだらしく思われて、昇に辱められた事も忘れ、お勢の高笑いをした事をも忘れ、山口の言葉の気に障ッたのも忘れ、牛店の不快をも忘れて、唯顔に当る夜風の涼味をのみ感じたが、シカシ長持はしなかッた。
宿所へ来た。何心なく文三が格子戸を開けて裏へ這入ると、奥坐舗の方でワッワッと云う高笑いの声がする。耳を聳てて能く聞けば、昇の声もその中に聞える……まだ居ると見える。文三は覚えず立止ッた。「若しまた無礼を加えたら、モウその時は破れかぶれ」ト思えば荐りに胸が浪だつ。暫らく鵠立でいて、度胸を据えて、戦争が初まる前の軍人の如くに思切ッた顔色をして、文三は縁側へ廻り出た。