Classiques japonais avec furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lisez 滝口 (たきぐち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 815 caractères · 99 écrans
「人間にはでき心というやつがあります」と芳村は答えた、「また、おりうはあなたに対しては、もう女になっていますからね」
安宅は酒を啜ってから、ふと眼をつむった。幾たびかしがみついてきたおりうの、熱いような躯のほてりや、ときとすると強く匂った躰臭が、現実のように思いだされたのだ。安宅の眉間に皺がよった。けれどもそれはすぐに消え、彼は眼をあけた。
「よけいなことをきくが、いまなにをしてくらしているんだ」
「用心棒です」
安宅は不審そうな顔をした。
「博奕打のね」と芳村は云った、「あなたなどは知らないだろうが、賭場のたつときとか、博徒どうしの争いなどに、この刀を役立てるというわけです、人間の屑でなければやらない仕事ですがね、金にはなるし、おりうのあとを追うには都合がいいんです、たいていの土地で仕事にありつけますからね」
「それに、あれだけの腕があればな」
「腕ですって、冗談じゃない」
「むろん冗談じゃあない」と云って安宅は酒を飲んだ、「さっきあの空地でみたが、おれにはまったく勝ちみがなかった」
「冗談を云わないで下さい」芳村は苦笑いをした、「私のは実地に斬りあっただけの、法もなにもない乱暴なものです、私のほうこそ、あなたに抜き合わされたとき、これはしまったと思いました」