Classiques japonais avec furigana
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Lisez 白髪鬼 (はくはつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 046 caractères · 224 écrans
「里見さん、今のお話は、まさか冗談ではありますまいね」
「冗談?」わしは小気味よくカラカラと笑った。「ハハハハハハハ、何をおっしゃる。冗談にこんなことが云えると思いますか」
「では……」
川村は口惜しそうに、ブルブルと身を震わせた。
「では?」
わしは、やっぱりニコニコしながら、大様に聞返した。
川村はそれには答えず唇を噛みしめて、いきなり立上った。立上って何かキョロキョロあたりを見廻していたかと思うと、前に置いてあったワイン・グラスを掴むなり、突然、気違いの様に、わしに向って投げつけた。
わしがヒョイと首を曲げたので、グラスはうしろの壁にあたって、ピシッと、微塵に砕け散った。
「ウヌ、このかたり奴ッ」
彼は野獣の様に唸ったかと思うと、飛出した目でわしを睨みつけながら、いきなりテーブルの上に躍り上って、わしの胸へ掴みかかって来た。
「何をなさる。気でも違ったのですか」
両隣の二紳士が川村の足を持ってやっとのことテーブルの上から引きおろした。一座総立ちになって、この乱心者を睨みつけた。
川村は八方から叱責の凝視を受けて、流石に恥しく思ったのか、再び、乱暴を働くことはなかったが、心は刻一刻憤怒に燃え、紫色の顔でわしを睨みつけたまま、石の様に動かなかった。