Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Lisez 白髪鬼 (はくはつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 046 caractères · 224 écrans
わしは、ムチムチと肥え太った、若い娘の肉体を幻に描いていた。それが非常な魅力で野獣の食慾をそそった。わしは恐ろしい肉食獣になり果てていたのだ。
蓋をこじ開けると、片手をさし入れて、中を探り廻った。先ず指に触れたのは、冷い房々とした髪の毛であった。わしはもう、喉をグビグビ云わせながら、嬉しさに夢中になって、その髪の毛を握りしめ、グイと持上げようとした。
持上げようとした拍子に、わしは力余って、うしろへ倒れてしまった。髪の毛の根元には何にもなかったのだ。肉が腐って、抜け落ちたのであろうと、更らに手を入れて探って見ると、いきなりゴツゴツした固いものに触った。なで廻して見ると、乾き切った頭蓋骨だ。洞穴の様な二つの眼窩だ。唇のないむき出しの歯並だ。
胸にも腹にも、カラカラの骨の外には、柔かいものは少しもない。肉も臓腑も、蛆虫の為に食い尽され、その蛆虫さえ死に絶えてしまったものであろう。
アア、その時のわしの失望はどれ程であったろう。若い娘のふくよかな肉体を幻に描いて、夢中になって、僅かに残っていた最後の精力を使い果してしまったのだ。絶望の極、もう身動きをする力もなかった。