Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
Lisez 白髪鬼 (はくはつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 046 caractères · 224 écrans
皆さん、その時のわしの気持を察して下さい。今でもあのくやしさは忘れられぬ。こうしていても、ひとりでに拳が握られて来る程だ。
アア、こんなことと知ったなら、何苦しんで墓穴を抜け出して来ようぞ。あのまま地中の暗黒界に飢え死んだ方が、どれ程ましであったか知れぬ。穴の中の恐ろしさ苦しさも、今妻の不義を見せつけられた術なさに比べては、物の数ではなかった。
あの時、わしの怒りが半分も軽かったなら、わしはきっと、我を忘れて「不義者奴」と叫びさま、茂みを飛出し、彼等両人を掴み殺しもしたであろう。
併し、わしの怒りは、その様な世間一般の怒りではなかった。真の怒りは無言である。物云うことも忘れ、身動きすることも忘れ、我身がそこにあることさえ打忘れて、わしは化石した様にほし固まってしまった。
わしは最早人間ではない。怒りの塊であった。彼奴等ここで一体何をしようというのかと、息もせず、瞬きもせず、静まり返って控えていた。
不義の二人は、誰よりも恐ろしい大牟田敏清が、一間と離れぬ木蔭に身を潜めているとは夢にも知らず、いつかわし達夫婦の為に作らせたベンチに腰をおろし、肌と肌とを押しつける様にして、ひそひそと睦言を交し始めた。