Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lisez 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 289 296 caractères · 578 écrans

Aozora Bunko

父の友人や知己は、大抵は、父のために、三度も四度も、迷惑をかけさせられていた。父が、金策の話をしても、彼等は体よく断った。断られると、潔癖な父は、二度と頼もうとはしなかった。

六月が二十五日となり、二十七日となった。連日の奔走が無駄になると、父はもう自棄を起したのであろう。もう、ふッつりと出なくなった。幡随院長兵衛が、水野の邸に行くように、父は怯びれもせず、悪魔が、下す毒手を、待ち受けているようだった。

今年の春やっと、学校を出たばかりの瑠璃子には、父が連日の苦悶を見ても、何うしようと云う術もなかった。彼女は、たゞオロ/\して、一人心を苦しめる丈だった。

彼女の小さい胸の苦しみを、打ち明けるべき相手としては、たゞ恋人の直也がある丈だった。が、彼女は恋人に、まだ何も云っていなかった。

家の窮状を訴えるためには、いろ/\な事情を云わなければならない。荘田の恨みの原因が、直也の罵倒であることも云わなければならない。直也の父が、不倫な求婚の賤しい使者を務めたことも云わなければならない。それでは、恋人に訴えるのではなくして、恋人を責めるような結果になる。