Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans

Aozora Bunko

六所明神に近い一旅亭の門に、ひと目で“釜のふた”と市人にもわかる足利家の紋幕がそれである。主従二十余騎、今日で二日三晩の足ぶみだった。

街の灯はごった返している。

街道の要衝だし、また家々は、大昔の武蔵の国庁時代からの櫛比である。それとこの川止め客の混雑とで、酒は売れ、辻喧嘩は宵を戦がせ、旅籠旅籠の駒の柵まで、夜をいななき騒いでいた。

「おや、釜のふたの方は、今夜もまだ、でんとご逗留らしいぜ」

「ほんに、鍋のふたは、あれしきの水嵩を、渡れぬことがあろうやと、午すぎ、広言を払って宿を立ったのに」

「はははは。宇治川の先陣というわけか」

「所は東の多摩川だが、これや見ン事、釜のふたの大負けだったな」

旅舎の前を通る雑人輩のたわ言だった。

往来を行く彼らにすれば、聞えぬつもりの放言だろうが、つい足利党の耳にもはいる。

でなくとも、二日の川止めに、いら立っていた供人たちなので、皆、外をにらんで、いまいましがった。

「……ちいッ。あんなことを言って通りゃがる」

そのままが、高氏の耳にもとどいた。――夜食の酒の座で、供頭の佐野十郎やその他の近習が口々に告げたのである。