Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans
またもとより、この道誉とて、足利にたいし、日ごろ気の毒とこそ存ずれ、何ら意趣あるものではなし、かく一応の御審議も相すみたる上は、政所へも、疑惑一掃の由、御披露ありたく存じまする」
列座の顔は、みなうなずいた。簾の内の人影にも、ほっとした気配が見える。
依然、不服顔なのは高氏だった。やがて役方は、閉廷を宣して、一せいに起ち、道誉も起ったが、彼のみは、あらぬ方を見て、坐りこんでいた。
「さ。参ろうか」
道誉は彼に、退出を誘った。
そして、かつての伊吹の居城では、たしかに、こうだった人柄に返って、道誉は頬の黒子もニコやかに、
「――祝着祝着。新田の件といい、忍び上洛のことといい、これでまずお上の御不審も解け、幕府御家人の醜をも世間へ見せずにすんだ。高氏どの、何を腐っておられるか。もはや晴れてどこでも歩かれい、大手を振って」
と言いながら、その場を一と足先に、出て行った。
裁許橋の内の、時ノ太鼓が、正午を告げていた。
気を揉み揉み、控え屋敷で待っていた右馬介は、やっと退がって来た高氏をそこに迎えたが、彼の冴えない顔を見て、はっと胸を暗くした。
「如何でござりましたな。