Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(一) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 246 214 caractères · 495 écrans
しかし、どこか、それだけではない、食えない人柄のようなものも感じられる。自分のせがれか孫のような二人にたいして「――山家のおやじで」などという挨拶からしてそうである。
勢い、二人は固くならざるをえなかった。そして、先に正季たちに打明けた今日の事情を、もう一度、ここで語ると、
「ほう、それはそれは、とんだ御災難だったの」
と、とぼけた相づちを打つ程度だ。
それから、やや打ちとけて来たかの頃、
「かねがね、日野朝臣のお噂なら、この爺も稀れにはうけたまわっておる。こんな山家じゃが、折々見ゆる若い者が……」と、かたわらの正季、俊秀、五郎らの方をチラと見て――「この衆などが、ここへ来ては、よう耳新しい世事を聞かせてくれるのでな。……都ばなし、鎌倉ばなし、それも、嘘かほんとか知らぬが、イヤ近ごろは、面白いことばかり聞きおりますわい」
からからと笑って言った。
二人はようやく、その人を、正面切って見ることができた。
六十がらみだ。山蚕織のごつい大口袴、胴服といった姿である。美作の短刀一本、帯の前にたばさみ、腰の坐りもシャンとして折目ただしい。
が、何とも異相だった。