Classiques japonais avec furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(五) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 252 330 caractères · 505 écrans
五月二十三日である。それは鎌倉占領のすぐあくる日だった。彼は長井六郎、大和田小四郎の二名を選んで、
「今日、立て」
とばかり、西への使いに急がせた。
伯耆船上山の行在所――すなわち後醍醐のみかどのもとへ――ここの大戦捷を、上奏するための早馬だった。
ところが。偶然といえようか。
もちろんまだ、後醍醐には、鎌倉がほろんだなどのことは、ご存知もなかったが、すでに六波羅陥落の報につづき、千早城もまた大捷と聞えたので、同じ五月二十三日、還幸の沙汰を布令だされ、晴れの都門凱旋の途についておられたのである。――そして、その龍駕を待つ都には、高氏がいた。
足利殿
この名もまた、いまや洛内では、義貞以上にも、時運の波に乗ってきた“時の人”のひとりであった。
しかし高氏自身は今、そんな誇りどころな立場ではない。――洛内の治安から、そして西の龍駕へも、東の義貞へも、心くばりの多さは、多忙というもおろかなほどだ。まさに、忙中の人といってよい。旧六波羅探題のあとに住んで、みずから称えてそこを、
六波羅奉行
となし、また、わが名による“御教書”を発して、はやくも独自な政治的手腕のはしを見せていたが、なおかつ、東国の空をのぞんでは、