Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lisez 竹柏記 (ちくはくき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 798 caractères · 91 écrans

Aozora Bunko

孝之助は少しうるさくなってきた。

「いったいそんなことを、誰から聞いたのだ」

「笠井のあね(義姉)に聞きました」

笠井鉄馬はその年の三月に結婚していた。相手は浜田主殿という者の娘で、名をおぬひといい、三年まえから婚約ができていた。おぬひの病気で延びていたところ、ようやく医者の許しが出て、式を挙げたのであった。

「――では笠井も知っているのか」

「あねが実家から聞いたのだそうで、浜田でも外聞の悪い思いをしていると申したそうでございます」

これを聞きながら、孝之助はふと八束のことを思いだした。

――江戸へいったら借財を返す。

彼はそう云った。むろん、彼が御用商人と結託して、不正に費消した公金を、孝之助が用立てて始末した金である。こちらはもともと返して貰うつもりはなかったし「貸し金」などというものとはおよそ種類が違う。

――だがもし八束が話したとすると。

それも不正の事実は除いて、単に、借りた金を弁済しなければならぬ、というふうにでも云ったとすると、聞いた者の口から、歪曲されて伝わったと、考えられないことはない。少なくとも八束との関係以外に、そんな噂の出る原因はないのである。