Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lisez 竹柏記 (ちくはくき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 798 caractères · 91 écrans
道を曲ると、いま日が沈んだところらしく、遙かに大雲寺の森の上が、朱と金の色に染まっていた。いちめんに夕映えてはいるが、そこだけは眩しいほど強く、金粉を混えた華やかな朱色に輝いている。それは眼のさめるほど華やかであるが、しかもなにやらはかなく、うら枯れたような感じがあって、冬ちかい晩秋の、もの憂い佗しさを訴えるかのように思えた。……杉乃は眼を細めて、美しい夕空を見やりながら、良人の脇について歩いていたが、新しい岡村家の門の前へ来ると、初めてそれと直感したのだろう、急に足を停めて、良人のほうへふり向いた。
それまでの明るい顔が、鋭くひき緊って、額のあたりが白くなり、眼は咎めるような、烈しい光りを帯びていた。孝之助はそっと頷いて、頭を垂れた。
「そうなんだ」と低い声で彼は云った、「――われわれ二人が主賓だという、ぜひというので断われなかった」
「なぜそう仰しゃって下さいませんでしたの」
「云えば不承知だと思った、騙したようで悪いけれど、頼むよ」
杉乃の表情が歪んだ。引返すのかと思った。じっさい踵を返しそうにしたが、また屋敷のほうへ眼をやった。それはその年の五月から建築にかかり、八月の下旬に出来あがったものである。