Classiques japonais avec furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lisez 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 917 caractères · 86 écrans
ただ、その中でもさっきから賞讃の声を浴びていた、背の低い猪首の若者だけは、容易ならない競争者が現れた事を知ったと見えて、さすがに妬ましそうな流し眼をじろじろ彼の方へ注いでいた。その内に彼は担いだ岩を肩の上で一揺り揺ってから、人のいない向うの砂の上へ勢いよくどうと投げ落した。するとあの猪首の若者はちょうど餌に饑えた虎のように、猛然と身を躍らせながら、その巌石へ飛びかかったと思うと、咄嗟の間に抱え上げて、彼にも劣らず楽々と肩よりも高くかざして見せた。
それはこの二人の腕力が、ほかの力自慢の連中よりも数段上にあると云う事を雄弁に語っている証拠であった。そこで今まで臆面も無く力競べをしていた若者たちはいずれも興のさめた顔を見合せながら、周囲に佇んでいる見物仲間へ嫌でも加わらずにはいられなかった。その代りまた後に残った二人は、本来さほど敵意のある間柄でもなかったが、騎虎の勢いで已むを得ず、どちらか一方が降参するまで雌雄を争わずにはいられなくなった。この形勢を見た多勢の若者たちは、あの猪首の若者がさし上げた岩を投げると同時に、これまでよりは一層熱心にどっとどよみを作りながら、今度はずぶ濡れになった彼の方へいつになく一斉に眼を注いだ。