Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lisez 聞書抄 (ききがきしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 821 caractères · 210 écrans
紀伊国狐憑漆掻語
漆掻きと云ったって都会の人は御存知ないかも知れませんが、山の中へ這入って行って漆の樹からうるしの汁をしぼるんです。いいえ、なかなか、百姓の片手間ではありません。ちゃんとそれを専門にする者があったんで、近頃はめったに見かけませんけれども、外国の安い漆が輸入されるようになったそうですから、いまどきあんなことをしても手間ばかりかかって引き合わないんでしょうな。兎に角以前には私の村なんかへもよく漆かきが奈良あたりからやって来たもんです。漆鉋と云って、鎌のようなもので先の曲った奴を持って、腰に三四合ぐらい這入る竹の筒を提げて、漆を見つけると、その鉋で皮へ傷をつける。それがあんまり深く傷をつけ過ぎてもいけないし、浅過ぎてもいけないし、呼吸物なんで、その傷口から松脂のようにどろりと滲み出て来る汁を箆ですくって竹の筒へ入れる。そんな時にうっかり下手なことをやって汁が顔へはねかかったりすると、それこそ赤く脹れ上りますから、馴れた者でないと出来ない仕事なんでして、漆にカブレないように紺の手甲を着けて、すっかり紺装束で出掛ける。まあそんなことをする人間なんで、私の村にもその商売の者が一人住んでいましてね。