Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lisez 艶妖記 (えんようき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 761 caractères · 38 écrans
「――だっておせんは十四の時からあなたの許婚者だったのですもの、いちどは嫁になって来さえしたのですもの、そしておせんは今たった一人の頼りない身の上なのですもの」
「なあんですって」
八百助はつと座を立ってこう云った、
「――これが私のお返辞です、おわかりでしょう」
「八百助さま」
「触らないでください」
彼はとりすがろうとする嬢の手から身を引いた、
「いつか母が死んだとき権右衛門殿は葬式をしてくれました、その返礼に御両親と兄さん二人を牢から出してあげますよ、借りは借りですからね」
「待って、待ってください」
嬢は燃えるような哀願の眼でこちらを見た、
「おせんにはもう他に望みはございません、ただあなたのお側に置いてくださいまし、あなたのお側に、このお家に、八百助さま」
そして嬢は持てる限りの艶色と媚と嬌羞とを最上の技巧に託して泣き伏したが、八百助は見向きもせずに庭へ下り去った。
男の契言に偽りなく、八百助は砂金の嚢を馬に積んで下松の牢舎へでかけていった。するといかなる事の間違いか、玉造八百助と名乗るなり、「御用である」とあびせられ、たちまち繩を掛けて白洲へひき立てられた。