Classiques japonais avec furigana
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わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
Lisez 若殿女難記 (わかとのじょなんき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 611 caractères · 45 écrans
四
宙野がそっと声をかけた。「――さようなことはお慎しみあそばさぬと」
「いや捨て置け捨て置け、余はこの屋敷の主じゃ、なあ双葉そうであろう、いいから盃を取れ、酌はわっちが、いや余がしてとらせるであろう、ぐっとやんねえ」
「勿体のうございます」双葉はじっと若さまの顔をながしめに見上げ、盃を頂きながら体ぜんたいで艶めかしく媚をつくった。「ふたしなみでございますゆえ、どうぞお軽く」
四
「いやみごと、そのほうちょいといけるな、もう一ついきねえ、いやもう一つ重ねるがよい、かけつけ三杯ということがある」
「若さま、――恐れながら」
「いや構うな宙野、美人で酒がいけるときては矢も楯も堪らねえ」若殿にはだいぶ酔がまわられたらしい、双葉の肩先から手を廻されて、「おうそっちの姐さんたち、今夜はこの双公とちんかもにするからな、おめえたちは済まねえがちょいと眼をつぶってくんねえ、なあ双公いいだろう」
「まあ勿体ない若さま」双葉嬢は二杯の酒にぽっと眼のふちを染め、またとなきこの恩寵に対して飛切りの嬌睨をもって答えた。「――そんなに仰せられますと本気にお受け申しましてよ」
「ようよう、眼もと千両ときたな、本気も疝気も脚気もねえ、十八万六千石の若殿さまだ、いいからぐっといきねえ、明日の朝あたまが痛えなんという酒じゃねえ灘の生一本、おまけに勘定の心配が