Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えいゆうのうつわ

英雄の器

芥川 竜之介

Lisez 英雄の器 (えいゆうのうつわ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 610 caractères · 4 écrans

Aozora Bunko

「何しろ項羽と云う男は、英雄の器じゃないですな。」

漢の大将呂馬通は、ただでさえ長い顔を、一層長くしながら、疎な髭を撫でて、こう云った。彼の顔のまわりには、十人あまりの顔が、皆まん中に置いた燈火の光をうけて、赤く幕営の夜の中にうき上っている。その顔がまた、どれもいつになく微笑を浮べているのは、西楚の覇王の首をあげた今日の勝戦の喜びが、まだ消えずにいるからであろう。――

「そうかね。」

鼻の高い、眼光の鋭い顔が一つ、これはやや皮肉な微笑を唇頭に漂わせながら、じっと呂馬通の眉の間を見ながら、こう云った。呂馬通は何故か、いささか狼狽したらしい。

「それは強いことは強いです。何しろ塗山の禹王廟にある石の鼎さえ枉げると云うのですからな。現に今日の戦でもです。私は一時命はないものだと思いました。李佐が殺される、王恒が殺される。その勢いと云ったら、ありません。それは実際、強いことは強いですな。」

「ははあ。」

相手の顔は依然として微笑しながら、鷹揚に頷いた。幕営の外はしんとしている。遠くで二三度、角の音がしたほかは、馬の嘶く声さえ聞えない。その中で、どことなく、枯れた木の葉の匂がする。