Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 157 440 caractères · 313 écrans
覆面の下から現われた顔は、予想したように、古仏のような黒い顔、たくましい眼鼻、それは紛れもなく、両国の軽業明石五郎八の小屋の木戸番をしている、半次という男だったのです。
「確りしろ、半次。お前を刺したのはだれだ」
平次はその後ろから抱き起しました。
「水、水」
うつろの眼を天眼にして、わずかにこういう半次、それを聞いて八五郎があわててお勝手へ行こうとするのを、
「バカ、こんな手負いに水をのませたら、いっぺんに落ちるじゃないか――半次、苦しかろうが、たった一言だ、お前を殺した相手を言えッ」
「姐御だ」
「姐御じゃわからねえ、だれだ」
「お栄のあま」
半次はそう言ってガクリと首を垂れます。またもやどっと首筋の傷からあふれ出る血潮。
「もう一つ言え。そのお栄は今何処にいる」
「知らねエ」
「お栄は先刻、たんすの錠前から何を見付けた」
「――」
「斑組の首領はだれだ?」
「――」
「お栄か」
「――」
「五郎八か」
「そんな事よりお静姐さんの行方を訊いて下さいよ、親分」
八五郎は側から口を容れましたが、それも無駄な努力でした。木戸番の半次は最後の根が尽きて、平次の腕の中に、ボロ切れのように崩折れてしまったのです。