Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 082 caractères · 257 écrans
平次も少し焦立って居りました。
「それじゃ――」
飛んでいく八五郎の後ろ姿を見送りながら平次は、
「戸棚の味噌の瓶を持って行ったそうだが、あの中に毒があったのかな」
さり気なく由良松に訊ねました。
「味噌の小出しの瓶には、毒は無かったといいますよ」
由良松は「それ見たことか」と言いそうです。瓶の味噌に毒が無ければ、矢張りお夏の手から鍋へ入れられたことになるのです。
「有難う、――いよ/\六つかしくなったが、お夏を捜すのが第一だ、頼むぜ」
平次は妙に身内の引緊まるような心持でした。この無慈悲な大量殺戮者は、放って置けば何を仕出かすかわからず、それにあの透き通った感じのお夏を縛るのは、八五郎の真似をするわけでは無いが、平次にも忍びないものがあったのです。
お六に訊くと、姉娘のお絹は、今しがたスヤ/\と寝て居るということだし、店二階に休んでいる与之助もまだ元気が恢復せず、直次郎は寺へ使いに行って、葬いの打合せをして居る処で、まだ帰って来ず、差当り平次が当ってみるのは、養子の品吉の外にはありません。
「飛んだお手数をかけまして」
淋しそうに、店番をして居る品吉は、平次の姿を見ると、丁寧に挨拶しました。