Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 082 caractères · 257 écrans
「あ、八五郎親分」
隙を狙って、雌豹のように逃出そうとしましたが、その時後ろから銭形平次が、
「皆吉、久し振りだったな」
と声を掛けると、お比奈は、暫く石畳の上に立ち縮んでしまいました。平次の後ろには、「あのお小姓に逢わせるから」と無理に誘い出された阿波屋の娘お由利が、何が何やらわからず夢心地に立って居るのです。
「えッ、もうこうなれば」
お比奈はパッと裾を蹴返すと、一瞬、闘志沸々たる悪少年皆吉になって居りました。
「それ、八」
「御用ッ」
争いは深刻でしたが、平次の力添えで瞬時に片付いてしまいました。
「畜生ッ、覚えて居やがれ、岡っ引奴」
平次を睨んで悪罵の荒らしを浴びせるお比奈は、もう物静かな娘のおもかげもありません。
* *
平次はその夜のうちに、春徳寺の沙弥檀の下から、三つの千両箱を取出して、寺社奉行の役人に引渡しました。
そして事件が一段落という時、八五郎のために、こう説明してやったのです。
「あれは今から三年前、浪人木村六弥が、主家帰参のために入要な三千両を盗み溜め、それを俺に邪魔された上、品川沖で、水死をしたことがあるが――その後日物語さ。