Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
も、しばらくは言葉もありません。
「銭形の親分さん、九百九十両盗った野郎を捜し出して、磔刑にするなり、八つ裂きにするなり、思い知らせてやって下さい、お願い」
上がり框に腰をおろした平次の袂へ、多の市の痩せさらばえた手が、ワナワナと蔓草のように絡み付くのです。
「まア、待ちな、一と通り見て来るから」
平次は言い捨てて、家の内外を一と廻り、あまりの無造作な住居で、手掛りも何にもありません。
多の市の寝ているのは奥の三畳、お浜の寝ていたのは入口に近い四畳半、その外には狭い濡縁があって、二つの部屋の隣に小さいお勝手があります。
「ここに千両近い金のあるのを知っているのは誰と誰だえ」
元の座へ帰って来た平次の問は常識的でした。
「娘の外にはありません」
「お前が金を持っていることは、この平次も薄々聞いているぜ、――お浜の外にも嗅ぎ付けた人間があるだろう」
「世間ではそんな噂をしておりますが、九百九十両と纏まった金を竹筒の柱に入れて持っていると知っているのは、娘たった一人でございます」
「大金を持っていることを知っている者なら外にもあるだろう」
「それはもう、――現にここに居る佐の市さんだって、私が検校になりたさに、金を溜めていることは知っているはずです」