Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
徳松は死に行くお菊の顔を憎悪とも、懐かしさとも、言いようのない複雑な眼で見据えましたが、やがて自分の腕の中に、がっくりこと切れる娘の最期を見届けると、
「お菊ッ」
激情に押し流されたように、自分の濡れた頬を、娘の蒼ざめた頬にすりつけるのです。
「あッ、何ということをするんだえ、畜生ッ」
転げるように飛込んで来たのは、五十年配の女――お菊の母親のお楽でした。いきなり徳松を突き飛ばすと、その膝の上から、娘のお菊を毟り取ります。
「おっ母ア、お菊は大変だぜ」
わずかに反抗する徳松。
「お前がやったんだろう。畜生ッ、どうするか見やがれ」
戦闘的な母親は、お菊が死んだとは気がつかなかったものか、相手の男を憎む心で一パイです。
「違うよ、俺じゃねえ」
「あッ、お菊、確りしておくれ、おっ母アだよ、お菊ッ」
「…………」
「お菊、お菊ッ、死んじゃいけないよ。お菊、明日という日を、あんなに楽しみにしていたじゃないか」
「…………」
「お菊」
母親のお楽は、自分の腕の中に、一と塊の襤褸切れのように崩折れるお菊を揺すぶりながら、全身に血潮を浴びて、半狂乱に叫び立てるのでした。
「おっ母ア、驚くのは無理もねえが、――お菊坊がこんなになったのは、おっ母アのせいもあるんだぜ」