Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
咄嗟の働き、生垣を飛越してお屋敷へ帰られ、翌る日はわざわざ乗物を仕立てて迎えに来られ、驚いた振りをして帰られれば、それで万事無事に納まると思っておられた――」
平次の話の予想外さ、一座は死の沈黙に陥ちて、息をするのも忘れたよう。
平次はそれに構わず、冥府の判官のように、冷たく、静かに続けました。
「ところが、下手人の疑いはあらぬ三人に懸って、世上の噂は大きくなるばかり。土佐守様御名前も引合に出そうになってみると、そのままには差措き難い。思案に余って、吉住様は、私の家へ御出で下された、――一つは無実の罪で縛られた、三人の者を助けたいため、――一つは下手人が解らぬままに、うやむやに世評を揉み消したいため――」
「…………」
一座の視線は期せずして、吉住求馬の顔に集まりました。植村家で名代の腕利き、純情で、忠義で、奥方のためには水火も辞さないのは、この人でなければなりません。
が、吉住求馬の顔は、作り付けた人形のように静まり返って、少しの表情の動きもなかったのです。
「それでは、お名前を申上げましょう、――主君のため、お菊を殺したのは」
平次は顔を挙げて、次の言葉が唇の上へ動きました。