Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
「そんなものはありゃしません、舐めたように綺麗でしたよ」
「フーム」
「落馬したとき持っていた箱なら、往来へ取落したというから少しぐらい拭いたって、泥か埃が付いているはずでしょう。――だから家へ持って帰ってから摩り替えられたに間違いありません」
ガラッ八も見よう見真似でなかなか穿ったことを言います。
「八」
「ヘエ」
「これは、思ったより底のある企みらしいぜ、もう少し様子を見るとしよう」
平次は考え深そうに腕を拱きました。
「底にも蓋にも、これっきりの話じゃありませんか」
「いや、そうじゃない。お前は駄目ばかり詰めて、肝腎の筋へは石を打たなかったんだ」
「ヘエ、譬えが碁と来たね」
「俺はこれから、ちょいと行って見てくる。用事があったら牛込見附の辺へ来てみるがいい」
もう夕暮に近い街へ、平次は大急ぎに飛出しました。
それから一刻(二時間)ばかり、秋の日はすっかり暮れて、ガラッ八が所在もなく鼻毛を抜いていると、牛込の大場石見邸から、
「即刻、平次親分に来てくれるように」
という丁寧な口上で使いの者が来ました。
「弱ったなア、親分はどこへ行ったか解りませんが、その辺まで行ってみましょう。