Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
悪事に栄えた昔の事を思い出したのでしょう。
「正直者はそれが本当さ、――ところで、どんな野郎が抜いたんだ。三百八十両が懐中から消えた後前のことを、少し詳しく聞かして貰おうか」
と平次。
「相生町のお華客で、三百八十両、小判で受取ったのは巳刻少しまえでした。真っ直ぐに両国へかかると、橋の袂でどこかの小僧さんが待っていて、『増屋の主人が小梅の寮に居るから、そっちへ持って行くように』という言伝です」
「フーム」
「別に疑う心持もなく、向島へ行くと、ちょうど花は真っ盛り、昼前だというのに、土手は、こぼれそうな人出です。その間を縫うように、言問の近くまで――実はとんだ儲けもののつもりで、花を眺めながら行くと、いきなり突き当って喧嘩を吹っ掛けたものがあります」
「どんな野郎だい」
彦兵衛は横合から口を出しました。
「小鬢の禿げ上がった、薄あばたの男で」
「フーム」
「二つ三つ殴られて、土手の下へ転がされると、――それ喧嘩だッ――という人だかり」
「…………」
「漸くハネ退けて飛起きると、相手は人混みの中に飛込んでどこへ逃げたかわかりません。ハッと気が付いて懐中を見ると、三百八十両の小判を入れた財布は、紐を切られて抜かれてしまったのです」