Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
「ところで、彦兵衛、その巾着切りの薄菊石を、お前は心当りがありそうだが――」
平次は職業意識を取戻しました。
「それですよ、親分。若い者には聞かせたくねえ話で、――ちょいとお顔を」
彦兵衛は目顔に物を言わせて、滑るように明けかかった街へ出ました。
それを追って平次。二人はしばらく無言のまま、浜町河岸に立って、銀鼠から桃色に明けて行く大川端の春を眺めております。
「彦兵衛――薄菊石の巾着切りは誰だ。早い方がいい。今から手を廻したら、金が戻るかも知れねえ」
平次は口を切りました。
「描き菊石の東作という野郎で、――仕事をする時だけ、自分の顔へ絵の具で菊石を描くほどの用心深い奴ですよ」
「どこに居る、少しでも早い方がいい」
「ね、親分さん、――これはあっしに任せて下さいませんか」
「…………」
「十手捕縄じゃ――そんな事を言っちゃ悪いが、後口のよくねえことがあります。彦兵衛が一世一代、身体を張ってきっと型をつけます。こいつはあっしに任しておくんなさいまし」
彦兵衛は思い切ってこう言うのです。
「それはまた、どうしたわけだ」
と平次。
「増屋の嫁になろうという娘の耳に、あっしの素姓を知らせたくはありません。