Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
平次はそんな事を言ってカラカラと笑いますが、盗られた財布の中味は、正直のところ、路用から湯治の雑用を併せて三両二分ばかり、あとに残ったのは、煙草入に女房のお静が入れてくれた、たしなみの小粒が三つだけです。
「お役人に申しましょうか」
「いや、それにも及ぶめえよ」
江戸の高名な御用聞、銭形の平次が巾着切りにしてやられたとは、さすがに人に知られたくなかったのでしょう。
「左様でございますか、――その御災難の中へ、こんな事を申上げるのは変でございますが、今日は急に御本陣へお行列が入って、宿中一パイになってしまいました。手前どもでも割り切れないほどのお客様で、どうすることも出来ません。御迷惑様でも、相客をお二人ばかりお願い申上げたいのでございますが、いかがでございましょう」
番頭は敷居際に坐り込んだまま、一所懸命手を揉んでおります。
「いいとも、十畳に一人じゃ勿体ない、二人でも三人でも、案内して来るがいい」
「では――」
番頭は引込むと、間もなく二人の屈強な武家を案内して来ました。
「…………」
平次は危うく声を出すところでした。相客というのは、先刻街道筋で、女巾着切りを介抱している時、近々と眺めながら、素知らぬ顔をして通って行った、二人の浪人者に紛れもなかったのです。