Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
「…………」
「これは、お楽を胸に抱いて、後ろへ手を廻して匕首を背中に押し当てるように、恐ろしい力で突き下げた傷だ。これなら返り血を浴びる事もなし、傷口が下向きになっているのが何よりの証拠だ。それから、お楽の手の爪の中に紬の糸屑が、ほんの少しだが入っている、抱きついて背中を刺された時掻きむしったんだね、紬を着るのはたいがい男だ」
「…………」
何という明察でしょう。万七は一句もなく首を垂れました。
「一体下手人は誰だ、平次、話してみるがいい、お前には解っているようだが――」
笹野新三郎は耐え兼ねてこう言いました。
「最初から申しましょう。九月十三夜に、両国橋で私は身投げ女を救い上げました。これがお楽で、三人組の大泥棒、香三郎の妹でございます。側にいた船へ引上げて貰おうとすると、その船の船頭が櫂を振り上げて私を打とうと構えたのです。幸い月見船が二三艘いたので、私も命拾いをしましたが、これは唯事ではないと思ったから、そこからお楽を引取って、少し見ていることにしたのです」
「…………」
平次の話は奇っ怪でした。調べてみるとお楽は房州生れの河童で、水で死ぬような女ではありません。