Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans

Aozora Bunko

そんな事を言って、半日路地に立った平次とガラッ八は、昼少し前漸く酬いられて、目差す娘が白日の下に現れたのを見付けたのでした。

「綺麗だね、親分、あれを跟けるのは朝飯前だが、あんなに綺麗じゃ跟ける方で気がさす」

「何をつまらない、――それ、諦めて帰って行くだろう。覚られちゃ打ちこわしだ、そっと跟けて行け」

「合点、これも役得さ。同じ跟けるなら、綺麗な新造の方がどんなに心持がいいか判らない」

八五郎は駆け出しました、が、思い直した様子で立止まると、裾を七三に端折って、手拭でヒョイと顔を包んだものです。ポカポカする秋日和、頬冠りは少し鬱陶しいが、場所柄だけに、少し遅い朝帰りと思えば大して可笑しくはありません。

「銭形の」

不意に平次の肩を叩いた者があります。

「あ、三輪の兄哥」

振り返ると、ニヤリニヤリと四十男が、平次の顔と、駆けて行くガラッ八の後ろ姿を半々に眺めております。

三輪の万七という顔のいい御用聞、石原の利助が隠居してからは、銭形の平次を向うに廻して、事ごとに手柄を争っている男だったのです。

「大層な手柄だってネ、行倒れの乞食の懐から小判で百両出たという話には驚かないが、その行倒れを毒死と睨んだ平次親分の目には恐れ入ったよ、――ここは馬道だから、筋を言や俺の縄張だが、そんなケチな事は言わねえ、まア、せっかくやん