Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 696 caractères · 310 écrans
母屋の方に休んでいるよ。ここに泊ったのはこの私と八五郎だ。私は主人に化けたから無事だったが、八五郎の女形は骨が折れたぜ」
平次は灯の中に突っ立って、こんな暢気なことを言っているのです。
ガラッ八の八五郎は、女形の装束を脱いで、コソコソと人込みの後ろに姿を隠しました。顔を見られるのが恥かしかったのでしょう。
「ところで、私と八五郎がここに泊ったのは、曲者の仕掛けるのを待つためだ。先の新造のお雪さんを殺し、お角の倅幸三郎を川へ投げ込み、今度は花嫁お楽さんの店へ火をつけた曲者は、今晩はこの離屋へ火をつけたのだ」
平次の言葉は続きます。
離屋の前に集まった二三十人の群衆は、声を呑んでその次の言葉を待ちました。
「曲者の姿は確かにこの眼で見た。火を付けるところを節穴から覗いたんだから、間違いのあるはずはない」
「親分、その曲者は誰だ。早く言って下さい」
群衆は異常な圧迫感に堪え兼ねて、ザワザワと揺れます。
「そこに居るよ、誰にも解るはずだ。――手の真っ黒なのが証拠だ」
平次に指さされて、ハッとした一人、思わず自分の掌を見たのを、
「あッ」
後ろからむずとガラッ八が襟首を掴んだのです。