Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 029 caractères · 82 écrans
お妙はそれに答えず、あらぬことを考えている様子です。
「ところでお嬢さん、――この手紙は、竜吉の机の引出しから持って来ましたが、これで、皆んなでしょうね」
平次は懐中から、可愛らしい絵封筒に入ったのや、天地紅の半切に書いて、そのまま結び文にしたのを取揃えて、二十四本の手紙をお妙の前に出して見せました。
「まア」
お妙は熱いものに触りでもしたように、出しかけた手をそっと引っ込めます。
「勘定してみて下さい。たいてい日を揃えてあるようですが――」
「…………」
平次に重ねて言われると、自分の書いた手紙を二十四通、膝の上に置いて、身体を斜めにしたまま、極り悪そうに勘定しておりましたが、
「一本だけ足りないようです。一昨日松次郎が持って行ったのが――」
そう言うのがせいぜいです。
「松次郎がまだ行かなかったのでしょう」
平次は慰め顔になりました。霞網を借りに行ったはずの松次郎は、恐らくお妙の文使いが本当の目的だったことでしょう。
「その松次郎は?」
「朝倉屋へ行っていたようですが」
「私が逢いたがっていたと――そう言って下さいな」
お妙のそう言うのを、平次はうなずいて引下がりました。