Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なべしまかいのかみ
鍋島甲斐守
吉川 英治
Lisez 鍋島甲斐守 (なべしまかいのかみ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 322 caractères · 23 écrans
『奉行はうそは云わん』
『それでは、私は、ここを出れば、殺されるかも知れません』
『銀左衛門の知己どもが、事情を聞いて、甚しく立腹しておるということだ。どういう事があろうか分らん』
『申しかねまするが、今夜は、どこか、御牢内のすみにでも手前を置いていただかれますまいか』
『牢へ泊りたいか』
『は、はい』
『一晩というわけにはゆかぬな。三年も入れ、そして、少し自分のして来た事を考えてみぬか。おまえの為に入っている人間も、十人ぐらいはいるだろう』
『三年などと、そんなには、及びませぬ』
『では、出て行け。そちを縛りはせん』
『…………』
『それとも入るか』
『…………』
彦兵衛は両手をついて、白洲へしがみついたまま、動かなかった。その手頸を、数珠の輪が巻いていた。
突ッ立った儘、甲斐守は、恐い眼でジッとにらみつけながら、肚の底から憤りをもって云った。
『わ、悪いやつじゃっ!』
そして、自分の腕くびに掛けていた数珠をふッつり断ち切って、彦兵衛の頭へたたきつけた。
(昭和十一年九月)