Classiques japonais avec furigana
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ながやてんいちぼう
長屋天一坊
山本 周五郎
Lisez 長屋天一坊 (ながやてんいちぼう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 453 caractères · 57 écrans
第八席 嘘から出た真のこと
吾助はこれらを手当り次第にめくり返し、首を捻っては壁や天床を眺め、ときには店の客とも応接し、またしては丹念にめくり返しするのであった。
「人間の一心何事か成らざるべけんや、草の根を刈り石を除けるの故事ありという」こう独語を漏らすこともあった、「五風十雨、七転び八起き、艱難汝を……汝を……」
そして或る夜、吾助は片手に武鑑の一冊を持ち、坐ったままで三尺程度は跳上って、あ、あ、こ、こ、という風な声を発した。
彼は遂に発見したのである。井桁に橘の紋を。それは摂津国十二万四千石の領主、松平伊賀守の紋どころ――替紋ではあったが――であり然もその分家の式部なる人の字が吉近と云い、然も五年前に本家へ入って伊賀守を相続しているのである。
吾助はまず勝手へいって水を飲み、それから戦術を立てるがために、改めて坐り直した。
第八席 嘘から出た真のこと
並びに御落胤「臼」に大搾られのこと
仰天したのを、銀太と金太の両名に限定するわけにはいかない。長屋同志の面々も仰天した、寧ろ長屋全体が仰天したと云っても、演者としては無責任ではないと思う。都合上つづめて云えば、繩屋吾助は羽折袴で松平伊賀邸に参上し、隠密を旨として其の筋へ伺いを立てた。