Classiques japonais avec furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lisez 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 213 575 caractères · 424 écrans
これを書いているうちにその刊行に接しられないのを残念に思った。
この晩秋、杉本画伯は、平泉の中尊寺へ画材を探りに出かけた。自分は平泉地方は十年ほど前にてくてくひとり歩いたことがあるので今度は行を共にしなかった。来年は飛騨白川から裏日本の平家部落や、また有名な九州五箇ノ庄だの椎葉などへも行ってみるつもりである。生々しい新史料を発掘するなどということは望み得ないが、そういう地形と平家流亡のあとをたどって歩く間ほど、いろいろな空想や創作欲を呼び起こされることはない。
「新・平家物語」のさいごの場面は、やはり壇ノ浦ですかとは、よく人に訊かれることであるが、自分の今の考えでは、壇ノ浦以後、椎葉山中のような平家村の生態までを、そしてある一時代に、平家文化を咲かせた人間の集団と大自然との融合までを、心ゆくまで、書いてみたいと思っている。そういう際涯のない考えなども、各地の平家部落など訪ね歩いているうちに、自然、自分の胸中に落想されてくるもので、われながら、時には、自分の欲望と構想の果てなさを、余り丈夫でない肉体と一しょに、持て余してしまう思いがする。(昭和二十六年十一月)