Classiques japonais avec furigana
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
Lisez 雨あがる (あめあがる) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 794 caractères · 43 écrans
「こういうお宿へ泊る方たちとは、ずいぶんたくさんお近づきになりましたけれど、みなさんやさしい善い方ばかりでしたわね、自分の暮しさえ満足でないのに、いつも他人のことを心配したり、他人の不幸に心から泣いたり、僅かな物を惜しみもなく分けたり、……ほかの世間の人たちとはまるで違って、哀しいほど思い遣りの深い、温かな人たちばかりでしたわ」
「貧しい者はお互いが頼りですからね、自分の欲を張っては生きにくい、というわけだろうね」
「説教節のお爺さんはこう云っておいででした、もうお眼にはかかれませんが、どこへいってもお二人の御繁昌を祈っております」おたよはそっと眼を伏せた、「――それから涙を拭いて、このあいだのことは死ぬまで忘れません、あんなに有難い、嬉しいことは生れて来て初めてだった、世の中はいいものだということを、この年になって初めて知りましたって……わたくし胸が詰ってしまいました」
「もうよしましょう、私にはそういうおたよのほうがもっと哀しい、辛いですから」
伊兵衛はしぼんだ顔になり、それから急に浮きたつように云った。
「しかしもうこれもおしまいです、と云ってもいいと思うんだが、実は今日は食禄の高までほぼ内定したんでねえ」