Classiques japonais avec furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Lisez 魔術師 (まじゅつし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 264 caractères · 280 écrans
二郎は、両眼がボーッとして来る程も、裸体人形を見つめていた。見つめている内に、ムラムラと恐ろしい想像が湧上って来る。若しや、あれは本当の人間ではないかしら、あの笑いの面みたいな顔をした不気味な道化師は、何喰わぬ顔で、毎日毎日、一人ずつ生きた娘を殺しているのではあるまいか。
そればかりではない。あの人形の身体は、腿の線、乳のふくらみ、頸から顎へかけての特徴がどうも今見るのが初めてではない。どっかで見た様な、と思うと、その人形が、益々誰やらに似て来るのだ。
「アア、俺はまだ悪夢の続きを見ているのかしら」
二郎はともすれば、そんな気持になる。そして、一寸気を許すと、眩暈の様に、青や赤の風船玉みたいな物が、目の前を、滅多やたらに飛び違う。
さて、愈々美人解体が始まった。笑の面の道化師は、滑稽な程物々しい大ダンビラを、真向にふりかぶって、ヤッとかけ声諸共、裸体人形の腿に打ちおろした。パッと上る真赤な噴水。コロコロと舞台前方に転がり出す美人の片足。猿轡の中から、幽かに漏れる悲痛なうめき声。
人形がうめく筈はない。きっと黒幕のうしろで誰かが声丈け真似ているのだとは思いながら、二郎は、そのうめき声を聞くと、ハッと飛び上る程、驚かないではいられなかった。