Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lisez 魔術師 (まじゅつし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 264 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

彼は頸に力を入れて、その針を押上げようとした。だが、大ゼンマイの力は、存外強かった。針はビクとも動かぬ。力を入れれば入れる程、頸の肉がちぎれる様に痛むばかりだ。

吹き出し度い程馬鹿馬鹿しい出来事だった。しかし、哀れな人間の力には、この巨大なる機械力を、どう喰い止めるすべもないのだ。

余りの不様さ恥しさに、助けを求めることを躊躇している間に、大振子の一振り毎に、針は遠慮なく下って来た。最早や耐え難い痛みだ。

彼は叫び出した。三十歳の洋行帰りの紳士が、時計の針にはさまれて悲鳴を上げた。だが、叫んでも叫んでも、誰も救いに来るものはなかった。彼が時計塔へ昇ったことは誰も知らぬ。仮令この大空の悲鳴が階下の人々に聞えたとしても、まさか、そんな所に苦しんでいる人間があろうとは、想像もしないであろう。

遙か地上を眺めても、その辺に、人影はない。見張りの刑事達のいる表門裏門は、屋根が邪魔になってここからは見えぬ。塀の外は二三丁の間人家もない丘陵だ。

耳をすますと、怪しい笛の音は、いつかバッタリやんでいた。あの笛は彼を穴から覗かせるトリックに過ぎなかったのだ。賊はこうなることを、ちゃんと見極めていたのだ。