Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans

Aozora Bunko

呼ぼうとしては咽び、咽んでは叫んだのである。

「だッ、だッ、だれがいるンだッ――誰がいるんだッ」

と、中を覗いてみる――

漠々たる密雲に、夕陽が射しているような有様。深い穴蔵の底へ万吉の声がひびいた。

よみがえったような叫びがしてきた。

「お綱……お綱……お綱だよう!」

「おお、やっぱりそうだッたか、おれは万吉だ、万吉だぞッ」

「あッ……」というと声が消えた。

「お綱ッ、しっかりしろよ! 今すぐに助けてやるから、眠ってしまっちゃいけねえぞ。地面へ口をつけて辛抱していろ」

「ま、万吉ッつぁん――、縄を!」

「待て待て、待ってくれよ! 今すぐだ」

もう、たえられぬかのような苦しい声で、またお綱が下から叫ぶ……。

「早くしてーッ。万吉ッつぁん――わ、わたしよりもお千絵様が!」

「げッ、お千絵様が? や、やや! お千絵様もそこにいたのか。チェーッ、一大事!」

と万吉は、その時こそ、まったく、煙を吸う苦しさも火ッ気も、身に感じなくなっていた。

「縄だ、縄だ、縄だ、縄だ!」

心の底でガリガリどなる。

眼は吊り上がってしまっている。足もつかずに廊下の彼方此方を、無我夢中で探し廻った。