Classiques japonais avec furigana
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Lisez 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) de 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 693 caractères · 377 écrans
この頃、国内は段々と騒がしくなって来て、朝廷からは将軍家茂公に是非とも上洛せよとの勅命が下り、将軍においても遂に上洛せらるる事になったので、藩の世子もその警衛として江戸から京都へ上った。そこで私の父もその供をして、世子が公武の間に立ちいろいろな勤務をせらるるために、父も一層配慮した事であった。それで聊かの風邪等も押して奔走していた結果、遂に熱病に罹って段々と重態に陥った。この事が藩地の私ども家族の者へも伝わったので、一同大いに心配して私は既に十七歳に成っていたから、単身父の看病に京都へ赴くことになった。
一体、藩士においては私用の旅行は一切ならぬ事になっていたから、同じ伊予の国内で僅か三里隔る大洲領内へさえ、一歩も踏込む事は出来なかったのである。まして遠方へ旅行するなどは、勤務している者は勿論、その子弟では家族の婦人でも一切出来ぬことであった。が、ここに取のけがある。それは神仏の参詣、即ち伊勢大神宮とか、隣国の讃岐の金比羅とかへの参詣は、特に願って往復幾日かの旅程を定め旅行を許される事があった。その他父母の病気が重態で、看護を要するという場合を限り、その父母の居る地へ旅行する事が出来るので、これは勤務している者を初め、一般家族にも許されていたのである。