Classiques japonais avec furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lisez 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 148 caractères · 154 écrans
まずの、」
才子と豪傑は、鼠のセル地と白薩摩で小路の黄昏の色に交り、くっ着いて、並んで歩く。
ここに注意すべきは多磨太が穿物である。いかに辺幅を修せずといって、いやしくも警部長の令息で、知事の君の縁者、勇美子には再従兄に当る、紳士島野氏の道伴で、護謨靴と歩を揃えながら、何たる事! 藁草履の擦切れたので、埃をはたはた。
歩きながら袂を探って、手帳と、袂草と一所くたに掴み出した。
「これ見い、」
紳士は軽く目を注いで、
「白墨かい。」
「はははは、白墨じゃが、何と、」
「それで、」と言懸けて、衣兜に堆く、挟んでおく、手巾の白いので口の辺をちょいと拭いた。
「うむ、おりゃ、近頃博愛主義になってな、同好の士には皆見せてやる事にした。あえてこの慰を独擅にせんのじゃで、到る処俺が例の観察をして突留めた奴の家には、必ず、門札の下へ、これで、ちょいとな。」
「ふん、はてね。」
「貴様今見たか、あれじゃ、あの形じゃ。目立たぬように丸い輪を付けておくことにしたんじゃ。」
「御趣向だね。」
「どうだ、今の家には限らずな、どこでも可いぞ、あの印の付いた家を随時窺って見い。殊に夜な、きっと男と女とで、何かしら、演劇にするようなことを遣っとるわ。