Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
そこでこの時も垂れ布をかかげて、やって来た人の姿を見た。と、若い女であった。そこで前後を忘れてしまい、可哀そうな嬰児に乳を飲ませてやりたい、その一心から走り出で、乳はあるまいかと訊いたのであったが、まだ娘だから乳は出ないと云われ、自分の行動のあわただしかったことが、にわかに恥しく思われたのであった。
彼女は、しばらく黙っていた。
浮藻はちょっとばかり躊躇したが、一刻も早く小次郎に逢いたい、この要求があったので、由緒ありげでもあり悲惨でもある、女乞食の身について、一応たずねたくは思ったものの、そうして親切な言葉などもかけて、そうして谷の向こうに見える、燈火のついている館こそ、自分達の住居であって、そこへさえ行ったら乳こそはないが、嬰児のたべられる食物も、お前さんの食べられる食物もあるから、おいでなさいよと云いたかったが、心の余裕がなかったので、思い詰めている男の名を、
「小次郎様! 小次郎様!」
と、思わず口に出して高く云い、よろめきながら、走るような足で、早瀬を見すてて歩いて行った。
「小次郎様? 小次郎様とは?」
歩いて行く浮藻を見送りながら、いぶかしそうに早瀬は呟いた。