Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

「なるほど。……何だか、わたくしの話も出たようでしたね」

キャラコさんが、正直にいう。

「じぶんの名を隠しているようなひとと親しくしてはいけないと、いいましたの」

『恋人』はうつむいていたが、急に顔をあげると、ぶっきら棒な口調で、いった。

「そんなことなら、わけはない。……叔母さんに、わたくしは山本というものだといって下さい」

「ご商売は?」

『恋人』は、考えてから、陰気な声でこたえた。

「手相術師……、手相を見ます」

五

次の日、晩餐の時間になっても、槇子がなかなか帰って来ない。時計は、もう、七時をうちかけている。

キャラコさんは、食卓の上のナプキンを眺めながら坐っていたが、すこし心配になってきた。

沼間夫人は、剃り込んだ細い眉の間に立皺をよせて、いらいらと食堂の入口の方へふりかえりながら、平気な顔で食事を始めている麻耶子に、

「あなた、槇子どこへ行ったか、ほんとに知らないの」

と、また同じことをたずねる。

マヤ子は、つんとして、

「いやアね、いくど同じことをきくの。だから、知らないといってるじゃないか」

「じゃ、槇さんといつどこで別れたの」

「伊東のトバ口ンところで。