Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
「おい蝶太夫」とその男が云った、「仲次郎だ、覚えているか」
蝶太夫は盃を持ったまま黙っていた。盃が重いので全身で持ちこたえている、といったふうな姿であった。二人とも酔っているらしい。六助はへらへら笑いながら、どかっと音荒くあぐらをかき、仲次郎という男はこっちへ来て、蝶太夫の前へ片膝立ちに坐った。色の悪い顔が蒼黒く怒張し、おちくぼんだ眼には憎悪が火となって燃えているようにみえた。
「なんとか挨拶はねえのか」と仲次郎が云った、「おれの面を見てなんとか挨拶のしようはねえのか」
「ぐうとも云えめえ」と六が向うから云った、「どうだ蝶の字、ぐっとでも云えるか」
「きさまは人間の皮をかぶったけだものだ」と仲次郎が云った、「きさまは浄瑠璃でうだつがあがらないために、中途から岸沢へ弟子入りをして来た、面倒をみたのはおれだぞ、勘はいいが芸は勘だけじゃあねえ、きさまの勘のいいのは却って芸の邪魔になる、その勘を捨てろというところから手を取って教えた」
「待ってくれ」と蝶太夫が遮った、「悪いところはあやまるからその話はあっちへいって聞こう」
「そのお嬢さんに聞かれたくねえっていうわけか、よしゃがれ」