Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
五
おしのは頷いたが、半纒をひっかけて起き、父の枕許へすり寄って、手拭で汗を拭いてやってから、薬湯を注ごうかと訊いた。なにも欲しくない、寒いから早く横におなり、と喜兵衛は云った。おしのは云われるとおりにした。
五
「奥蔵の二階に、私の行李がある」と喜兵衛は話しだした、「その中に金が八百七十両はいっている、いいか、奥蔵の二階の行李だよ、私がこの店へ奉公に来るとき、着物類を入れて背負って来た行李だ、もう古くなって、四隅には穴があいている、金はその中に油紙で包んで入れてある」と喜兵衛は云った。
「私は千両にするつもりだったが、八百七十両にしかならなかった」
「どうしてそんな話をするの」
「おまえの金だからだ」と喜兵衛は云った、「千両になったら、私はおまえと二人でこの家を出て、べつに商売を始めるつもりだった、おそのはよくない女だ、おまえをあの女の側に置きたくなかった、あの女は家付きだから、離別をして出すというわけにはいかない、恥ずかしいけれども、私が婿養子で、おそのに逆らえないことはおまえもよく知っているだろう、いや、まあ聞いておくれ、――この年まで、私はずいぶんできない辛抱をして来た、婿になるとき、亡くなった旦那に泣いて頼まれたことと、おまえという者がいたから、きょうまで辛抱して来たんだ、さもなければとっくにとびだしてしまう