Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

九

「金って、幾らよこせと云うんです」

「そんなことはあたしの役」おみのは媚びた眼で得石をにらんだ、「先生は心配なさらなくてもようございますの」

「まさかまた、すっぽかすんじゃあないでしょうね」

おみのは黙って、微笑しながらかぶりを振った。

九

母屋の廊下へあがると、おみのはずっといって、小部屋の障子をあけた。中には小女が一人、火鉢を抱えるようにして、行燈の光で双紙本を読んでいた。

「まさちゃん」とおみのは云った、「あんたもうごはんは済ませたの」

「はい、頂きました」

「ではちょっとお使いにいって来てちょうだい」おみのはふところから紙入れを出し、幾らかの銭を小女に渡しながら云った、「これで梅花香を買って来て、粉で箱入りになっているほうよ、知ってるでしょ」

「はい知ってます」

「そしてね、買って来たら向うの離れへ来て、そっとあたしを呼びだしておくれ、用は云わずにただ呼ぶの、わかったわね」

「はい、わかりました」

小女が店のほうへ出ていってから、おみのは帳場へゆき、女中に酒と肴を頼んで、ゆっくりと元の離れへ戻った。「三人の男」というのには会わなかったし、そんな人間がいるようすもない。